紫陽花(あじさい)を撮る
5月30日、朝起きて、障子を開ければ、薫風になびく、山紫陽花が目に入りました。
5月後半には春と真夏が交互に訪れ、きっと花たちも季節判断に迷っているに違いありません。
花の写真を初めて20年になりますが、この季節変動には戸惑っています。
6月は夏至、入梅に入ると紫陽花の季節です。うっとうしい梅雨時に華やかな色が心を引き立ててくれます。雨をかぶって重たげに咲いたもの、てまりのように弾むもの、色も様々で、
雨に咲く紫陽花の淋し気な風景は日本の風物詩です。
・紫陽花やいつもここらで息きれる 池田 澄子
写真には、適正露出という言葉があります。カメラが見えるものをありのままに
表現することを指します。カメラをオートにして撮りますと、カメラが絞り、シャッタースピード、感度(ISO)を関連させてカメラの適正露出を求めてくれます。
一般に記録写真を撮る場合、露出はこれで終わりです。
しかし、花の写真を飾ろうと考えますと、この適正露出に自分の心の感情やイメージを
加えて、自分の適正露出を作ります。
これは、絵画や陶器などの芸術と通ずるものがあります。
作者は自分に求めるものを追い続けることになります。
しかし作品が作者のみの満足ではよいと言えません。一般の人たちに理解され、評価される必要があります。
自分もこの数年、目に見えないものをいかに写真に表現するかを課題に取り組んでいました。
そこで、今年の紫陽花のテーマを決めて、時期と機会を逃さないように、行動開始です。
紫陽花はヤマアジサイ、額アジサイ、西洋紫陽花と順に咲いていきます。
西洋紫陽花は日本からヨーロッパに渡った、額アジサイが改良されたものです。
ヤマアジサイやガクアジサイは関東一帯には自生しています。
寺院や公園の紫陽花もきれいですが、自分の家や近所にも沢山咲きます。
紫陽花は色が変化しますので、七変化とも呼ばれます。色の移り変わりを楽しみましょう。自分たちの見ているものは、紫陽花の額で、花は中央の小さな粒の集まったものです。