声楽訳詞家の顔

 再び自分の趣味の話で恐縮ですが、若いなりにいくつかの趣味があり、幸福であります。保土ヶ谷公会堂で活動中の「神奈川フィル合唱団」のオーディション(入団試験)を今秋に受けることになり、毎日課題曲を練習しています。声楽はアマチュアですが、好きなことでありました。あるとき、80代のカッコいい先生と出会い、すっかり生活の隅まで音楽に満たされています。

 先生からはドイツ語やフィンランド語など、様々な言語の歌詞が付いた譜面を頂くのですが、日本語に訳す際に、自分で訳するなら、日本語で歌えるように訳してみたい!と思い、「そのまま歌えるシリーズ」と題し、詞を日本語に訳した歌曲がだんだんとたまってきました。以下は、シベリウス作曲の「フィンランディア」の詞を訳した例です。

フィンランド語

1.

Oi, Suomi, katso, sinun päiväs' koittaa,

yön uhka karkoitettu on jo pois,

Ja aamun kiuru kirkkaudessa soittaa,

Kuin itse taivahan kansi sois'.

Yön vallat aamun valkeus jo voittaa,

Sun päiväs' koittaa, oi synnyinmaa.

 

2.

Oi, nouse, Suomi, nosta korkealle,

Pääs' seppelöimä suurten muistojen.

Oi, nouse, Suomi, näytit maailmalle,

Sa että karkoitit orjuuden,

Ja ettet taipunut sa sorron alle,

On aamus' alkanut, synnyinmaa.

 

私訳

1.

スオミよ、夜が明ける

闇はもう 追い払われた

ひばりが 白い空が

鳴くように 歌っている

日の出が 夜に打ち勝ち

来る朝。わが祖国よ。

 

2.

スオミよ、立ち上がれよ

偉大な 歴史冠れ

支配に 屈することなく

奴隷の 身から逃れ

頭を 高くもたげて

始めよ。わが祖国よ。

 


 フィンランド語を読み書きできない私ですが、ウェブで調べたり翻訳したりできるので、言語の壁は感じません。日本語の単語を選ぶときは、すんなり音符に載るようにし、詞の順番を気にせず組み替えたりもします。訳し終えた後は、自分で口遊んでみて、違和感がないことを確認できたら完成とします。

 もしオーディションに合格したら、年末に向かって「第九」の練習に参加できます。高らかに歌い、生まれるハーモニーは人生の喜びです。関心を持った方は、オーディションを受けてみませんか。コンサートホールで管弦楽団を前に歌える、またとない機会です。団員が増えるよう、先生は願っておられました。

(追記)

 去る2019年10月1日、岩間市民プラザにてオーディションを受け、無事合格しました。第九のほか、マーラーの「復活」を得意とする合唱団。年末に向けて特訓の日々が始まり、思わず楽しくなります。